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自己破産したら一切財産が残らない?自己破産をしても手元に残せる財産について
自己破産と聞くと「全ての財産を失ってしまう」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
多額の借金から解放されるための最後の手段である自己破産ですが、その一方で、生活に必要な財産まで全て失ってしまうのではないかという不安があるのも当然のことです。
実際には、自己破産の手続きを行っても、一定の範囲内で財産を手元に残すことが認められています。
そこで今回は、自己破産をしても手元に残せる財産(自由財産)についてわかりやすく解説します。
自己破産の基本的な流れと財産の取り扱い
- 自己破産とは?
自己破産は、裁判所を通じて借金の返済義務を全額免除してもらう手続きです。
普通の生活を送りながら返済を継続しても、借金3~5年で返済することが不可能な状況に陥った場合に利用するものです。
具体的には、裁判所に破産・免責許可申立書を提出し、免責許可をもらいます。 - 自己破産の手続き
自己破産の手続きは、大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2つに分かれます。
同時廃止事件とは、破産者に財産がほとんどない場合に選択される、比較的簡単な手続きです。
管財事件とは、破産者に一定以上の財産がある場合に、裁判所が選任した破産管財人が調査し、財産を換価・分配する手続きです。
管財事件で換価可能な財産がある場合、破産者の財産は原則として債権者への配当に充てられます。
しかし、破産者の最低限の生活を保障するため、法律によって手元に残せる財産の範囲が定められており、これを「自由財産」といいます。
無条件に手元に残せる「自由財産」
破産法第34条第3項で、以下の財産は無条件に破産者の自由財産として、手元に残すことが認められています。
99万円以下の現金
破産手続き開始決定時の現金が99万円以下であれば、全額手元に残すことができます。
99万円を超える現金については手元に残せません。
また、預金は原則として自由財産にならないため注意が必要です。
差し押さえが禁止されている財産
民事執行法によって差し押さえが禁止されている財産は、自己破産においても自由財産となります。
これには、以下のようなものが含まれます。
- 生活に必要な衣類、寝具、家具、台所用品など
- 職業や生活に必要な道具(例:医師の医療器具、農家の農機具など)
- 仏壇、位牌など祭祀に必要な物
- 給料:給与債権の4分の3(上限33万円)までは手元に残すことが可能です。
- 退職金の一定額:まだ受け取っていない退職金については没収される金額が4分の1もしくは8分の1に限定されます。
- 年金や生活保護費など、特定の社会保障給付
これらの財産は、破産者の生活に不可欠なものであると考えられているため、債権者への配当の対象とはなりません。
裁判所の判断で「自由財産」として認められる財産
破産法第34条第3項で定められた自由財産以外にも、破産者の状況によっては、裁判所の判断によって一定の財産を自由財産として認めてもらえる場合があります。
これを「自由財産の拡張」といいます。
自由財産の拡張が認められるかどうかは、破産者の具体的な状況(年齢、収入、家族構成、職業、生活状況、破産に至った経緯など)や、管轄の裁判所の運用によって判断されます。
一般的に、以下のような財産が拡張の対象となる可能性があります。
- 20万円以下の預貯金
99万円の現金に加えて、20万円以下の預貯金も自由財産として認められる場合があります。 - 解約返戻金額の低い生命保険
解約返戻金が少額の生命保険契約は、解約せずに継続することが認められる場合があります。 - 時価額の低い自動車
通勤や生活に必要な自動車で、時価額が低い場合は、自由財産として認められることがあります。普通者で初年度登録から6年経過で価値ゼロ、軽自動車で4年経過で価値ゼロとされ、これ以上の年数を経過している場合には換価不要で、保有することが可能です。
ただし、自動車ローンが残っている場合は、「所有権留保」というローン会社側にローン完済まで所有権があるという契約であることが多く、この場合には自動車は原則として引き揚げられます。 - 退職金の一部
将来受け取る予定の退職金の一部が、自由財産として認められることがあります。
ただし、すでに受け取っている場合は、現金や預貯金として扱われます。
自由財産の拡張を希望する場合は、破産手続きを依頼する司法書士などを通じて、裁判所に申し立てを行う必要があります。
その際には、なぜその財産が破産者の生活に必要不可欠であるのかを具体的に説明することが重要です。
まとめ
自己破産は、借金問題を解決するための重要な選択肢の一つですが「全ての財産を失う」というわけではありません。
法律で定められた自由財産や、裁判所の判断による自由財産の拡張によって、破産者の最低限の生活は保障されるようになっています。
ただし、手元に残せる財産の範囲は個々の状況や裁判所の判断によって異なります。
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